残酷な質問を感謝に変える力
息子を幼稚園に迎えに行くと、いつものように元気良く車に乗り込んできた。
しばらく走っていると息子が言った。
「今日ね、お友達にね、『お母さん死んじゃったんでしょ』って言われた。」
一瞬、凍りついた。
子供は、無知で残酷だから、必ずいつかくるとは思ってたけどこんなに早くやってくるとは。
そんな残酷な質問されたら、普通の6歳の子供は泣き出すか次の日から幼稚園に行くのが嫌になるだろう。
大人だって辛くなる。
でも息子は違った。
「それでね、まさきね、そのお友達にね、『お母さんのこと思い出させてくれて、ありがとう』って答えたんだ。
幼稚園にいるとき、お母さんのこと忘れてたから、思い出させてくれてありがとうって思ったよ。」
全身に衝撃が走り、涙が出た。
まさか、そんな言葉が出てくるとは……。
信じられない。
すごすぎる。
息子には、お母さんがいなくなった寂しさ以上に一緒に過ごしたたくさんの楽しい思い出があるからそんな言葉が出てきたんだと思う。
そして、妻が毎日たくさんの愛情を与えて育ててくれたから。
そして息子もその愛情を全部受けとめる器をもって生まれてきてくれた。
こんな残酷な質問を感謝に変える力ってすごい。
母親の愛情、無償の愛ってどこまでもすごい。
よしこ、ありがとう。
安心して。
まさきは、たくましく育ってるよ。
息子はお母さんがいなくなってから1度しか泣かなかった。
その理由も少し分かった気がする。
小さな奇跡