49日目の夜の奇跡

妻がいなくなってから49日目の夜に起こった奇跡

四十九日は、この世に残っている故人の魂が、次の世へと旅立つ日とされています。

妻がいなくなってから49日目の夜に起こった不思議な出来事のおはなしです。

 

妻がいなくなってから49日目の夜、いつものように息子と二人で寝室のベッドで寝ていました。

ベッドは、壁にくっつけて設置しており、ベッドに座るとちょうど目の高さに、窓があります。

その窓からは、のどかな田んぼと熊野特有の雄大な山々が見えるお気に入りの窓です。

夜中、寝ていると

「コツ、コツ、コツ」

と窓に何かが当たる音が聞こえ、目が覚めました。

初めは、木の枝が風に揺られて当たっているのかと思い、気にせずそのまま寝てしまいました。

寝ているとまた、

「コツ、コツ、コツ」

「コツ、コツ、コツ」

と聞こえて目が覚めました。

『そういえば、窓の近くに木は、植えていないし何だろう』

と思い、起き上がって窓の外を見てみると

一羽の小さな小鳥と目が合いました。

窓の外には、うぐいす色をした小さな小鳥がいたのです。

その小鳥が、私が起きるまで、何度も何度もくちばしで窓をつついていました。

窓を開けて

『よしこ、ありがとう』

と声をかけると

小鳥は、夜空へと飛んでいきました。

 

お別れを伝えに来てくれたんだね。

気づくまで、硬い窓を、小さなくちばしで、何度も何度もつついて。

本当に、ありがとう。

 

小さな奇跡