もうすぐ1年 本当に変わったのか

もうすぐ1年 本当に変わったのか

 

妻がいなくなってから、もうすぐ1年。

あっという間の1年でした。

はじめて息子と二人だけでキャンプへ行った夏休み、二入だけでお祝いした息子の誕生日、二人だけで過ごしたクリスマス、二人だけでお祝いした妻の誕生日。

あれから365日、時間は戻ることも止まることもなく、1秒1秒、時を刻んでいます。

妻がいなくなった翌日も、それまでとは何も変わらずいつものように太陽が昇り、テレビをつけるといつもの番組が放送されていて、いつものように近くのお店もやっていて、いつものように夜になり、何もなかったように自分の外の世界は流れていました。

それが、とても悔しく、せめて自分だけは変わらなければいけない、生き方を変えようって決意しました。

あれから1年、本当に自分は変わったのか。

 

 

妻の生き方〜この町に来てから〜

 

妻の告別式には、会場に入りきれないほどの沢山の方々にご参列して頂きました。

たった5年程しか暮らしていなかったこの町で、あんなに沢山の方々に来て頂けたのは、妻の生き方をそのまま表していました。

 

5年前に、僕たち3人は当時住んでいた横浜から、自然豊かな田舎で子育てをしたいという理由で、僕の育ったこの町に引っ越して来ました。

カフェ、パン屋さん、おしゃれな雑貨やさん巡りが大好きだった妻は、この町に来た当初、

「ここは、何もない。散歩してても誰にも人に会わない」って、嘆いていました。

でも、すぐに役場へ行って「子育て支援室」や「こぐまの会」といった子育てのママさん達が集まる場所の情報を集めて出向き、子育てしている同世代のママさん達と交流するようになりました。

本当は、集団行動や人の集まるところが苦手だったのですが、「子供のため」にという気持ちがあったので、積極的に色々なイベントにも参加するようになり、平日はお弁当を持って、子供と二人で出かけてほとんど家にいる事はなかったと思います。

また、自分からハロウィンパーティーなどのイベントを主催したり、かわいい壁紙を作ったり、保育士のキャリアを存分に発揮し、自分も本当に楽しんでいました。

そして、いつしか、ママさん達の輪の中心には、いつも彼女がいて、幼稚園の保育参観やイベントでも、彼女の周りに自然に人が集まっていました。

「幼稚園のママさん達は、みんな良い人だよ」って良く言っていたのを覚えています。

今では、そのママさん達に息子も見守ってもらい、良く助けてもらっています。

幼稚園のお迎えや子供のお預かりしてもらったり、幼稚園の情報を教えてもらったり。

こんな関係を残してくれた妻にも、ママさん達にも本当に感謝しかありません。

 

妻の最後の1年は、自分の夢に向かって真っ直ぐ突き進み、夢だった地域に愛されるパン屋さんをオープンしました。

小麦粉、深層海水天然塩、はちみつ、甜菜糖、季節の野菜、自家製天然酵母など体に良くて美味しい素材にこだわり、時間をかけて一つ一つ丁寧にパンを焼いていました。

パン屋さんをオープンする初日に出すパンを焼いていた時、パンがうまく膨らまずに失敗してしまい、悔しくて泣いていました。

「せっかく、みんなに食べてもらいたかったのに、、、」と言って。

そのパンは、スィートブール(UFOパン)というフワフワのパンで、彼女が初めて食べた時、

「天然酵母でこんなにフワフワで美味しいパンが作れるのか」と衝撃を受けたパンでした。

だから、みんなにもぜひ食べてみてほしかったのですが、うまく焼けず、もう1度生地から作り直そうとしていましたが、発酵に6時間以上かかかるのでとても間に合わないのですが、それでも作ろうとしていました。

どんなに疲れていても、パンを販売する週末になると、パンを焼き、僕たちを、小麦の香ばしい香りで目を覚まさせてくれました。

1度決めたことは、自分がどんな状態であっても、自分をどんなに犠牲にしてでもやり抜いていました。

 

素直に、諦めずに、思いを込めて、楽しく笑顔で、時間や手間を惜しまず。

パンに向かう姿勢は、彼女が人と接する時や子育てなど、何に対しても同じでした。

だから、こんなにも沢山の人に愛されたのだと思います。

 

ブログを始めた理由

 

彼女がいなくなっても、世の中は何一つ変わらないし、知り合い以外の人は彼女がいたことさえ知りません。

だったら、自分一人だけでも変わらないといけないと思いこのブログを始めました。

また、家族でさえ彼女との思い出や記憶はだんだんと薄れていってしまうので、このブログを通して少しでも多くの人に彼女がいた事を知ってもらい、自分の生き方を考え、見直すきっかけになってくれれば嬉しく思います。

 

そして、息子にも妻の想いをしっかりと伝えるため、お母さんの言葉、どんなに息子を愛していたか、どんな大人になって欲しいと願っていたか、どんな料理やおやつを作ってくれたのか、どんなお母さんだったのか、どこに一緒に行ったのか、少しずつブログに綴っていきたいと思います。

あと、三年も経てば、ブログを読んでくれるかな。

 

 

4件のコメント

こんな始めたばかりの小さなサイトを見つけてくれ、コメントまで残して頂きありがとうございます。子どもが字を読めるまで待たなくても、読み聞かせすれば、お母さんの想いを伝えられますね。ありがとうございます。

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